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SO短編集

第4章 You are my precious.~智~

【智side】

いつだったか読んだ、誰かの本に書いてあった言葉。

『創作をする人間は孤独に強い。
むしろ孤独と静寂を愛しているように思う。
この二つは創作をする上で、必要不可欠なものなのではないかと思われる。
創作とは、自身の胸の奥にある鍵のかかった箱を苦労して開け、そこから溢れ出した様々な想いに翻弄されながら、最後に残るものを見極めていく作業である。
それは、余人の介入出来ない領域で行われる。
最後に残った、たった一つの想いと向き合うところから、創作は始まる。』

セリフのように暗記してしまったけれど、難しいことはおいらには分からない。

ただ、孤独と静寂を愛している、という部分はその通りだなと思った。

しかもおいらは強欲なことに、4人のことも愛していたし、5人で作り上げるものだって同じように愛していた。

「水、飲んでくる」

眠っている翔くんに、一応声をかけてから静かにベッドを抜け出す。

高層マンションの一番上の部屋は気密性が高くて、深夜はことさらに静かだ。

好きで使っている実家から持って来たアナログ時計の音が響いてて、余計に静かな感じがした。






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