テキストサイズ

夜の影

第15章 孤高の人

【智side】

安心したら、急に 躰 の 中 心 が ジン ジン してるのが気になりだしてくる。

吐き気は収まってきたけど、今度は 真 ん 中 が ムズ ムズするような。

ジワ ジワと痛いようなおかしな感覚がしてるのが気になって、イライラして来る。

横を向いて、躰 を 丸めて。

立ち上がってる 自 分 の を 手で握りしめた。



「う…ん…」



とりあえず薬が抜けるまで、ぎゅっと握って、この感覚をやり過ごすしかない。



「なぁ…、じゃぁ、かえってくるよな…?」

「…………」



目頭から鼻梁へと伝わった涙が、シーツに落ちてく。



「帰ってくるだろ…?
おれ、待ってるから
ちゃんと、びょういん行って
ちりょうして…
おれ、
アンタといっしょに居るから…」



何で返事しないんだよ?

俺、かーちゃんと一緒に、じーちゃんもばーちゃんも看取ったし、ちゃんと出来るぜ?

お前は嫌かもしんないけど。

別に俺とお前は血も繋がってないけど。

一人で寂しく 死 ん だ ら ダメだ。



「帰って来るって、やくそく、しろよ…」



自分のを握って 躰 を 丸めながら言ったら。

アイツの手が 布 団 の 中に入ってきた。

ジン ジン してるから、冷たくて気持ちいい。



「あ…はな、せ…」

「辛いんだろ、抜 い て やる」



でも 濡 れ て るし…アンタの手が汚れる…。



「ほら、力抜け」



布団がめくれて、隣に来てくれた。

首の下に腕が回って、額にキスされる。


大きな手のひんやりした感触が気持ち良くて。

懐かしくて、安心して。



「あ…ん…」



逆らう気力もないから、せめて汚さないように、横を向いてた 躰 を 仰向けにした。








ストーリーメニュー

TOPTOPへ