テキストサイズ

夜の影

第3章 First kiss

【智side】

ややあって、エントランスから事務所まで上がってきた新人は、カズが玄関を開けるのを待ちきれなかったみたいに足音も荒く部屋へ入ってきた。

スリッパを履いてない足が伝える振動が、ソファに寝ていても空気の動きで判るようだ。

俺はこういう時にはいつも、半分寝たままやり過ごすことにしてるから、動かないでいたんだけど。
いきなり毛布を剥がされて、胸ぐらをつかまれた躰が持ち上がった。

流石に驚いて目を開けると、噛みつくような キ ス が降ってくる。

「んっ」

声が出たのは驚いたからだ。

ショウの 舌 は肉厚で、酷く乱暴に 口 の 中 で暴れた。

ふっ、怒ってる。
息遣いが荒い。





絡ませようとしてくるのをテキトーにやり過ごしながら、ショウの目を閉じた顔を見てた。

歯をなぞろうとしてくるから、こっちから 口 を開けて、その 舌 先 を前歯でガチッとはさんでやる。
驚いたのか、ショウの躰がビクッと揺れて目が開いた。

構わずに徐々に力を込めていく。
鼻から漏らすお互いの息の音が、やけに大きく聞こえた。

やがて観念したように、俺のシャツを掴んでいた手が離れて、胸を押す。

ごめんなさい、は?

近くにあり過ぎて焦点を合わせにくいが、ショウの目が俺を見てるのはわかる。

精一杯イヤイヤをするように、顎が小さく左右に振れた。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ