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夜の影

第16章 明日の記憶

【翔side】

相葉君が仕事に行ってから、一人でぼんやりとこれからのことを考えてた。

サトシと抱き合った部屋で、ベッドの上にぼーっと座って。

カーテンを閉めていないから、ネオンの光が今夜も差し込んできてる。



何だか、ここに来てからずっと、自分の無力さを思い知らされるばかりだった。

たかが20年とちょっとの人生だけど。

俺は俺なんだから、どんなことに対しても自分の責任で決めて、人のせいにしないでやっていくんだ、って。

そう思って生きてきた。



でも。



それは両親の庇護があったからこそ、取れていたスタンスで。

親が居なくなったら、自分の知ってる世界が子供の世界だった、って痛感した。



それでも、気力を振り絞って。

必死に虚勢を張って「しっかり者のお兄ちゃん」をやってきてたのに。



家から出るしかなくなって。

途方に暮れた状態でサトシと出会って…。



抱き合った時、これまで身に着けてきた自意識の鎧というか。

意地とかヤセ我慢とか、かっこつけの部分が全部剥がれ落ちてしまったように思う。

今の俺は、一人、無防備な自分を持て余してる。

こんなに弱い人間だったんだなぁ、って。



情けなく泣きそうになりながら。

ただ、サトシに会いたくて。

ふにゃっ、って。

笑ってる顔が見たかった。







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