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夜の影

第21章 おまけ 彼方へ

【智side】

ぽ~っとしてる翔を浴室から連れ出して。
洗面台のところで躰を拭いてやる。

今回、翔は意識を飛ばさなかったけど。


「翔?」

「……ん……」


あれだな、ゆーたいりだつ(笑)。
さっきから、立っていてもゆらゆらと躰が揺れてる。

俺のTシャツを着せてやってから、自分の躰を適当に拭いて。
翔の手を引いてリビングのソファに戻った。





座らせて、頭をタオルでガシガシとしてやったら、力の入らない翔の首が勢いに負けて何度も後ろに倒れる。

目を閉じたまま首をカクンと後ろに反らして、また戻る。


「お前、子供か」


瞬きの間隔が長くなってる。


「起こしてやるから、少し眠りな」


言って、唇を軽く合わせた。

離れると、翔の腕が俺の首にかかって、そのまま抱きついてくる。


「ふっ、お前~…」


甘ったれだなぁ(笑)。

そう思いながら、つい背中に腕を回す。

自分の髪から雫が肩に落ちてくるのがわかった。

冷房が効いて、部屋の温度も下がっているから、毛布を持って来た方が良いだろう。

翔が風邪を引いてしまう。





「翔、ちょっとごめんな」


背中をさすってやって、一回ぎゅっと抱きしめてから離そうとしたけど、翔が抵抗して躰を固くする。


「や…離れない…」

「毛布持って来るから」

「やだ…」

「尻が風邪引くぞ」


パンツは俺が履いてるから、翔の尻は丸出し(笑)。


「…………」

「翔?」

「…………」


あ~、もう寝息になってるな、これは。


「イイコだから力抜いて
…翔?」

「ん……」


躰が重くなったから、頭を支えて寝かせてやる。


「や…行かな…そばに…」

「どこにも行かないよ
そばに居る」


言って、つるんとしたデコにキスをしてやると、翔が嬉しそうに、顔を緩ませた。

その笑い方がまぁ、何と言うか。

にへっ、って(笑)。

こいつは、本当に見ていて飽きない。

楽しい。

可愛い。

愛おしい。





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