テキストサイズ

夜の影

第4章 イン・ザ・ルーム

【智side】

どうしたもんかなぁ…。

実際に本番の仕事に入れば、モードが切り替わるから平気なんだけど。
正直なところ、気が乗らない。

これもアイツのせいなのかな、と思う。
俺自身の最初の時のことが、トラウマになってるんだろう。

気持ちが追いつかないままで、問答無用に始めてしまえばいいんだろうな…。

仕込み、となると、男とするのが初めての奴が相手だから、なるべく嫌な思い出にならないようにしてやりたい、なんて考えてしまう。

こういうところが、俺の甘さなんだ。
自嘲の笑いが起きてくる。





「ベッドにどうぞ」

ショウは素直にデニムを 脱 ぐ と、またベッドの上に戻った。

健全に、真っ直ぐ育ってきたに違いないコイツを堕とすのかと思うと、手を出すのがためらわれて。

「はぁ…」

思わず溜息がこぼれる。

ショウの視線を感じて、仕方なく笑いかけた。

覚悟を決めなきゃならないのは、俺の方か。





カズが置いていってくれた二つのグラスの中では、クラッシュアイスが解けて氷水になってる。

上からブランデーを注いで、片方をショウに渡した。

不思議そうな顔でグラスを見てる。

「ただの酒だよ、飲んでみ」

薄くしてあるせいか、一気にグラスの半分ぐらいが無くなった。

「ヘネシーだよ、社長が好きな酒なんだ
飲んだことない?」

言いながら俺もベッドに乗って、胡坐をかいてたショウの向いに納まる。

脚を伸ばしてショウの 腿 の上に自分の 腿 を重ねた。

ショウの脚をほどいて、お互いの 中 心 を密着させる。

上半身はわざと反らし、グラスを持っていない方の手をケツの後ろについて、体を支えた。

どちらのモノにもまだ変化はない。

逃げ場のなくなったショウが目を逸らす。

また、グラスを口にすると、残りを飲み干してしまって氷だけが残った。

「ほら」

俺が持っていたグラスと交換すると、また一気に半分近く飲んでしまう。

「お前さぁ、何か事情があるんだろうけど…
逃げれば良かったのになぁ…」

俺が言うと、ショウは視線だけ逸らしていた顔を左右に振り、今度は俯いてしまった。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ