夜の影
第26章 in the park
【智side】
教会の玄関を入るとすぐ右側に事務所があって。
受付の小窓がついてた。
そこにいつもあの人が居たんだ。
こんにちわ~、って声を掛けて。
トイレ貸してくださーい、って。
用を足して戻って来ると、その人が廊下に立ってて、手に持ったお菓子をオイラ達にくれた。
……なんだろう、何か気になってた気がするけど思い出せない。
話したのはいつも、多分何でもないような事ばかりだったと思うけど……。
優しくしてくれて。
嫌な顔をされた憶えはなかった。
『麦茶飲む?』
『おうちの人が心配するから暗くなる前に帰るんだよ。ご飯の用意して待ってるんじゃない?』
『お腹空いてる? もっと、おやつあげようか』
『カレーの匂いする? 僕が作ったんだ』
「あっ! 思い出した。
多分だけど、ハヤシさんです。
カレーライスの話して」
そうだよ! カレーの話で盛り上がったことがあった。
辛いのが好きだとか、水っぽいのが良いとか、豚肉だとか鶏肉だとか、そういう話。
その時に名前を聞いた。
オイラが興奮して言うと、サカモトさんは微妙な顔つきをしていた。
そっか、こんな話、信用出来ないよなぁ……。
「……すいません、違うかも」
ガッカリさせたのが申し訳ない。
オイラって、なんでこう、人の期待を裏切るんだろう。
「待て」
また下を向いていたら、ヒガシヤマさんの声がした。
「ハヤシってことは木が二つの林だな。
サカモト、この間のマツオカの話。リンと言っていた。林じゃないのか?」
「あっ!! 例の催眠療法士!!
リン医生と言ってました。
そうか、日本に居たセラピストの林医生。
ボランティアでストリートチルドレンの世話をしてる。
裏でペドフィリアに子供を斡旋してるんじゃないか、ってマツオカからの情報ですよね!?
繋がった!!!」
目を見開いて言うサカモトさんに、ヒガシヤマさんが重々しく頷いた。
教会の玄関を入るとすぐ右側に事務所があって。
受付の小窓がついてた。
そこにいつもあの人が居たんだ。
こんにちわ~、って声を掛けて。
トイレ貸してくださーい、って。
用を足して戻って来ると、その人が廊下に立ってて、手に持ったお菓子をオイラ達にくれた。
……なんだろう、何か気になってた気がするけど思い出せない。
話したのはいつも、多分何でもないような事ばかりだったと思うけど……。
優しくしてくれて。
嫌な顔をされた憶えはなかった。
『麦茶飲む?』
『おうちの人が心配するから暗くなる前に帰るんだよ。ご飯の用意して待ってるんじゃない?』
『お腹空いてる? もっと、おやつあげようか』
『カレーの匂いする? 僕が作ったんだ』
「あっ! 思い出した。
多分だけど、ハヤシさんです。
カレーライスの話して」
そうだよ! カレーの話で盛り上がったことがあった。
辛いのが好きだとか、水っぽいのが良いとか、豚肉だとか鶏肉だとか、そういう話。
その時に名前を聞いた。
オイラが興奮して言うと、サカモトさんは微妙な顔つきをしていた。
そっか、こんな話、信用出来ないよなぁ……。
「……すいません、違うかも」
ガッカリさせたのが申し訳ない。
オイラって、なんでこう、人の期待を裏切るんだろう。
「待て」
また下を向いていたら、ヒガシヤマさんの声がした。
「ハヤシってことは木が二つの林だな。
サカモト、この間のマツオカの話。リンと言っていた。林じゃないのか?」
「あっ!! 例の催眠療法士!!
リン医生と言ってました。
そうか、日本に居たセラピストの林医生。
ボランティアでストリートチルドレンの世話をしてる。
裏でペドフィリアに子供を斡旋してるんじゃないか、ってマツオカからの情報ですよね!?
繋がった!!!」
目を見開いて言うサカモトさんに、ヒガシヤマさんが重々しく頷いた。