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夜の影

第28章 Introduction~STORM~

【智side】

「んっ、んん!」

口の中で動いてるのが人の舌だと言うのが、全然ピンと来ない。腕を固定されて、頭も押さえられたから逃げようがなかった。

待って、息が出来ない!

「んはぁっ! んんっ」

無理に顔をズラして息をしようとしても強引に戻される。

「ふっ、んっ……」

やっと、鼻で呼吸すれば良いんだ、と気がついた。まるで嵐の中に居るみたいで、どうにもならない。

応える術も分からずに、躰が逃げて背中が反る。中途半端に下ろされた服が膝の辺りまで落ちてて。足元のバランスが取れない。

「あっ、はぁっ、んんっ」

もう倒れる! と思ったら、どこをどうされたのか、膝がカクンと崩れた。

キスされたまま背中を支えられて、大した衝撃もなく、ゆっくりと床に寝かされる。やっと唇が離れた。

何が何だか。

息をつくので精一杯だ。

ハァハァ言ってるオイラの上から、呆れたような声が落ちてきた。

「お前、まさか……」

何となくどういう意味か想像がついたから、取りあえず首を振って否定した。
キスぐらい、オイラだってしたことある。

「呆れたヤツだ……何も知らない癖に、男に抱かれる気か」

言ってヒガシヤマさんはオイラの上から躰を起こした。
床に座って、オイラを見下ろしてる。

「アンタがっ、いきなり、始めるからっ、だろ」

「嘘をつけ。この程度で腰を抜かしてどうする」

強がって言ってみたけどバレバレだった。

「これは前言撤回だな。
お前はまず快楽に慣れろ。
のんびり仕込んでやる余裕もないが……。
こんなに初心ではどうしようもない」

え? と思ったら、不意に晒したままの急所を握られた。

「うわっ」

両腿の上にヒガシヤマさんの上半身が乗って来て、腕でガッチリと抱え込まれる。

触れられてたオイラのが上向きにされて。

次の瞬間には温かい濡れた感触に包まれた。

「あっ、何?」

首を持ち上げて何が起きているのか確認する。

「あっ、ちょっ、あっ、待っ」

言ってる間にどんどん血が集まって来て。

「何してっ……やめ……あぁ……」

ああ、ダメだ。勃つ。

「や、だ……」

前に友達んちでコッソリ見たAV。
あれと同じことが起きてる。

「あ、あ、う、そ、だ……」

生々しい音が自分の腹の下で聞こえて、ヒガシヤマさんの前髪がリズムに合わせて上下してた。


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