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夜の影

第28章 Introduction~STORM~

【智side】

「男を黙らせるには問答無用でイかせるのが一番だな。」

タオルで手を拭きつつ、ヒガシヤマさんが澄ました顔で言う。

「何だよそれ、信じらんねぇ……」

ニヤッと笑うとオイラの頭の下に手を差し入れてから、肩を支えて躰を起こしてくれる。

不意に顔が近づいて、目蓋にキスされた。
泣いてしまったのに気づかれたのか、舌で舐めとるように、丁寧に睫毛をなぞってく。

「……ぁ……」

何度か繰り返されるのを目を閉じたまま感じて。離れたと思ったら、唇にキスされた。

ちゅ、ちゅ、と短く触れる感触が気持ち良くて、目を閉じたまま感覚がそればかりを追いかける。躰の中心がずっと熱いままだ。

薄く開けた唇の隙間から、スルッと舌が入り込んできた。

さっきの荒々しい感じとは違って、ゆっくり焦らすような動き。

「……ぁ……ん……」

いつの間にか、添わせるようにオイラの舌も動いてて、息が熱くなっていく。

あぁ……この感触、気持ちいいな……。

息遣いと、絡め合う音だけがしてる。
髪を撫でてくれる手が優しくて、気が遠くなりそうだ。

「……っ」

唇が離れた後も、何だか痺れるような夢の中みたいな感じが抜けなくて、オイラはそのまま目を閉じて体重を預けてた。

「イイコだ」

声がして膝の裏に腕が入って来る。
躰が浮いてベッドに寝かされた。

「足……脱がしてよ……暑い……」

目を開けて言ったら、オイラを見てるヒガシヤマさんは何だかちょっと笑って見えた。

「そんなに着てくるからだ」

可笑しそうに言って下半身を脱がせてくれる。

「だって、いきなりこんなことすると思わないもん」

「ふっ、眠そうだな」

実際、イッた後の怠さで寝そうだった。

オイラの隣に来て、頭を抱くと腕枕に乗せてくれる。

あぁ。
人の体温って、こんなに心地良い物なんだ。

「おれ、アンタとやるの……?」

ベッドが沈む感じと、温もりを感じながら訊いた。

「最初から知らない外国人の方が良かったか?」

手が股間に伸びて来て、また握られた。
上下に動き始める。

外国人?

ああ、あの動画の。ハヤシさん?

そっか、オイラあの人とやることになるのか。だったら、初めてはこの人の方が良いかな……。

触れ方でわかる。

実はそんなに冷たい人ではないと思う。


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