夜の影
第31章 RIGHT BACK TO YOU
【紀之side】
すぐに忘れてしまえれば良いが、男同士の行為では難しいだろう。
普通ではないことをした、という事実は、日常に戻ってからも恥と共に長く記憶に残る。
ならば。
大切に、大事に扱われた一つの経験になれば良い。
「うぅっ……」
更に指を増やして広げていると、智の声が潤んで来た。
口から出して顔を見ると、昨日初めてイかせた時と同じく閉じた目から涙が流れている。
「智?」
指を抜くと、ホッとしたのか目を開けた。
手首を取って起き上がらせ、抱いて背中を撫でる。
「イイコだ、ちゃんと上手に感じてる」
顔を近づけると目に涙を溜めて、じっと俺を見ていた。
「泣き顔も可愛いらしいな」
言ってまた、目蓋にキスをした。
そのまま額、鼻、頬、と啄んでいって、最後は唇に。
短く吸って、すぐに離れる。
焦らして暫く見つめていると、智がおずおずと唇を重ねて来た。
舌を招き入れて、そのまま智の中心を柔らかく扱く。
「んっ……ふっ……」
ほら、全部俺に預けて、やってくる衝動の波に乗れ。
唇が離れて、智の躰が反る。
「あ、あぁ……ああ……」
「イッていいぞ」
握った指に力を入れて、速度を上げた。
「あんっ、あっ、あっ」
「ほら、出せ」
反り返る背中を支えながら追い立ててやると、股関節をガクガクと震わせて。
「んっ、んんっ!!」
勢いよく 飛び散らせるのと同時に背中からベッドに落ちた。
「可愛いな、お前は」
ハァハァと荒い息を吐いているのに構わず、グッタリしている躰の下に枕を入れる。
自分のにオイルを塗ってから、智の両脚を開いた。
「入れてもいいか」
訊くと小さく頷く。
「あっ、ぐ、ぅっ……」
入口に当てた俺自身を進めていくと、止めようとして智の腕が伸びて来て。
届かずに指先だけが胸に触れた。
まだ俺のものは頭しか入ってない。
「あ……あ、あっ」
少しずつ沈めて、シコリと思われる辺りで止めた。
見えているのかいないのか、苦しげに目を細めて。
呼吸が早い。
「智、大丈夫だから、もっとゆっくり息をしろ。
俺はお前を傷つけない。
優しくしてやりたいだけだ」
いつかお前が本当の愛を知って、心底から相手と繋がりたいと思った時に、過去が重荷にならないように。
一つになれた喜びに、生きていて良かったと思えるように。
智がまた頷いた。
すぐに忘れてしまえれば良いが、男同士の行為では難しいだろう。
普通ではないことをした、という事実は、日常に戻ってからも恥と共に長く記憶に残る。
ならば。
大切に、大事に扱われた一つの経験になれば良い。
「うぅっ……」
更に指を増やして広げていると、智の声が潤んで来た。
口から出して顔を見ると、昨日初めてイかせた時と同じく閉じた目から涙が流れている。
「智?」
指を抜くと、ホッとしたのか目を開けた。
手首を取って起き上がらせ、抱いて背中を撫でる。
「イイコだ、ちゃんと上手に感じてる」
顔を近づけると目に涙を溜めて、じっと俺を見ていた。
「泣き顔も可愛いらしいな」
言ってまた、目蓋にキスをした。
そのまま額、鼻、頬、と啄んでいって、最後は唇に。
短く吸って、すぐに離れる。
焦らして暫く見つめていると、智がおずおずと唇を重ねて来た。
舌を招き入れて、そのまま智の中心を柔らかく扱く。
「んっ……ふっ……」
ほら、全部俺に預けて、やってくる衝動の波に乗れ。
唇が離れて、智の躰が反る。
「あ、あぁ……ああ……」
「イッていいぞ」
握った指に力を入れて、速度を上げた。
「あんっ、あっ、あっ」
「ほら、出せ」
反り返る背中を支えながら追い立ててやると、股関節をガクガクと震わせて。
「んっ、んんっ!!」
勢いよく 飛び散らせるのと同時に背中からベッドに落ちた。
「可愛いな、お前は」
ハァハァと荒い息を吐いているのに構わず、グッタリしている躰の下に枕を入れる。
自分のにオイルを塗ってから、智の両脚を開いた。
「入れてもいいか」
訊くと小さく頷く。
「あっ、ぐ、ぅっ……」
入口に当てた俺自身を進めていくと、止めようとして智の腕が伸びて来て。
届かずに指先だけが胸に触れた。
まだ俺のものは頭しか入ってない。
「あ……あ、あっ」
少しずつ沈めて、シコリと思われる辺りで止めた。
見えているのかいないのか、苦しげに目を細めて。
呼吸が早い。
「智、大丈夫だから、もっとゆっくり息をしろ。
俺はお前を傷つけない。
優しくしてやりたいだけだ」
いつかお前が本当の愛を知って、心底から相手と繋がりたいと思った時に、過去が重荷にならないように。
一つになれた喜びに、生きていて良かったと思えるように。
智がまた頷いた。