夜の影
第36章 裏・返し
【智side】
「ふぅ……」
一人になって用を足して。
気持を整えるのに、石鹸で手を丁寧に洗った。
間もなく食事も終わる。
そうしたらホテル。
ヒガシヤマさんも部屋を取ったけど、スイートには空きが無くて同じフロアじゃないって言ってた。
緊急の時に、って小さな発信機を渡されて。
押す暇が無かったら自分の判断で逃げてもいい、って、ヒガシヤマさんの部屋の番号を教えられてる。
何をされるんだろう。
普通にヤルだけなら……。
裸になってしまったら発信機は使えない。
でも絶対に脱ぐだろうし。
逃げるにしても、階段を使えって言われたけど……。
あんなにでっかいホテル、迷子になりそうだ。
手を擦りながら考えていると、トイレ入口の自動ドアが開いた気配がした。
オイラの後ろを通った人が何かに躓いたのか、背中にドンとぶつかる。
「あ、すいません」
言われるのと同時に、腰に固い感触の物が押し付けられた。
「動くな、静かにしろ」
確かめようとしたところに言われて鏡を見る。
オイラと同じくらいの若い男が、手にナイフを持って立っていた。
「えっ……」
そのまま見せつけるような動きで、刃が喉元に当てられる。
それから、今度は腰に当たっていたものが外されて。
鏡に映ったのは拳銃だった。
「ふぅ……」
一人になって用を足して。
気持を整えるのに、石鹸で手を丁寧に洗った。
間もなく食事も終わる。
そうしたらホテル。
ヒガシヤマさんも部屋を取ったけど、スイートには空きが無くて同じフロアじゃないって言ってた。
緊急の時に、って小さな発信機を渡されて。
押す暇が無かったら自分の判断で逃げてもいい、って、ヒガシヤマさんの部屋の番号を教えられてる。
何をされるんだろう。
普通にヤルだけなら……。
裸になってしまったら発信機は使えない。
でも絶対に脱ぐだろうし。
逃げるにしても、階段を使えって言われたけど……。
あんなにでっかいホテル、迷子になりそうだ。
手を擦りながら考えていると、トイレ入口の自動ドアが開いた気配がした。
オイラの後ろを通った人が何かに躓いたのか、背中にドンとぶつかる。
「あ、すいません」
言われるのと同時に、腰に固い感触の物が押し付けられた。
「動くな、静かにしろ」
確かめようとしたところに言われて鏡を見る。
オイラと同じくらいの若い男が、手にナイフを持って立っていた。
「えっ……」
そのまま見せつけるような動きで、刃が喉元に当てられる。
それから、今度は腰に当たっていたものが外されて。
鏡に映ったのは拳銃だった。