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夜の影

第11章 The first man

【智side】

ショウをキッチンへ行かせてから、カズにメールをした。

『ショウが抱えてる事情を知りたい
今日こっち来る?』

返事がソッコーで来る。

『バッチが新人の事情を知ることは禁止の筈ですが?
丁度連絡しようとしていたところでした
社長がアナタに話があるそうです
直接聞いてみれば良いのでは?』

ショウの件は返事を予想してたから驚かないが、社長が俺に何の話だ?





まぁ、いい。

『了解
上に行く間、こっちに来られる?
ショウを一人にしたくない』

『随分気に入ったんだね
わかりました
1時間ぐらいで社長が戻って来るから
そしたら下に行きます』

『よろしく』





キッチンからはミキサーの刃が氷を削る音が派手に聞こえてくる。

何度か音が止まって、また聞こえ始めるから、ショウが音にびっくりしてスイッチをオン・オフしてるのがわかった。

実家暮らしの大学生なら、食事は母親が作ってたんだろうし。
どうやら料理関係はからきしだな。

大きな目を見開いて固まってる姿を想像すると、微笑ましくて笑える。





カズがやってきたのは、タイミング良く出前の中華を食べ終わった頃で。

「昨日の今日でアイツは俺に何の話があるわけ?」

「さあ、ワタシにはわかりません」

しれっと言ったカズは、デスクへ向かうと後は知らんふりだった。

ショウは大人しく俺たちのやり取りを見ていたが、カズよりも俺の方を頼りに思っている様子で、どこか心配そうな顔をしている。





「ショウ、ちょっと上に行ってくるから
カズとお喋りでもしてな
そろそろ誰かと話したいだろ?」

訊いたら、黙ったまま小さく首を左右に振った。

「カズはゲームが上手いんだぜ
少し遊んでもらえ
俺が戻るまでリビングに居ろよ?」

言って頬に触れてやったら、上目遣いで小さく頷いたから、笑いかけてから上に向かった。









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