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OS短編集

第1章 ふりーず、からの

【智side】

「一人で風呂、はいれる?」

「…うん……」

背中に回った腕をほどいて、上着を脱がせてやる。

「溺れるなよ?」

「…うん……」

「イイコだな
じゃ、後で迎えに来る」

両手で顔をはさんでキスしてやったら、ようやく少し笑った。





ブランデーのロックを舐めながら、風呂場の気配に耳をそばだてる。

20分ぐらいで、ガラスの折り戸がスライドする音がしたからホッとした。

前に、いつまでも出て来ないから様子を見に行ったらさ~。

仰向けに 倒した 上半身 を耳まで湯船に浸からせて、ぼーっと無表情で浮いてたことがあって。

あれには、本気でびっくりした。

心臓に悪いっつーの。





ドライヤーを使う音と、歯磨きする音を何となく聞いて。

グラスを持ったまま迎えに行と、翔君は鏡の前で固まってた。

どうせ 脱 がせんのに、ちゃんと パンツ も 履いて、Tシャツを着てるのがいいやな。

顔色が戻ってるから、ホッとした。





「……?」

何?って顔で鏡越しにオイラを見たから、おいで、って手を引いて寝室へ連れて行く。





トボトボついて来たのをベッドに座らせて。

持ってたブランデーを口に含んで、グラスをサイドテーブルに置く。

もう、氷も溶けて薄いから、飲めんだろ。

両手で頬をはさみ、小さく溶けた氷を、酒と一緒に送ってやる。

ついでに軽く 舌 を 絡 ませてやったら、されるがままだ。

舌 と共に、口内を柔らかく移動する氷が、やがて小さくなる。

飲み込んだのを確認してから、唇 を離した。





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