テキストサイズ

愛が、はじまるとき 「改訂版」

第1章 愛が、はじまるとき 「改訂版」

         4

 そのあと、満さんは、セックスについての話をしてくれた。
 人類が、子どもを産むためのものであったセックスから、楽しむためのセックスを発見してからずっと、セックスは、女性が気持ちよくなるためのものだった、と言うのだ。
 その証拠に、女性には、快感を得るためだけに存在する、クリトリスがあると言う。
 それなのに、いま多くの人がしているセックスは、男性が射精するのが目的となっているみたいで間違っている、と言うのだ。
 だけどそれは、階級がうまれ男性優位の社会になってからの、たかだか数千年くらいのもので、人類の二十万年という歴史からみたら、ほんとに短いので、いずれ、セックスは、女性が気持ちよくなるためのものに帰っていく、と言うのだ。
 わりと長い話だったが、セックスは、女性が気持ちよくなるためのものだというのが、よくわかった。
 「里美さんは、
  セックスを、
  気持ちいいと思ったことは、
  ないんでしょうね?」
 「ええ」
 「じゃあ、
  どうして、
  彼と」
 「しかたなくです」
 「可哀そうに」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ