テキストサイズ

愛が、はじまるとき 「改訂版」

第1章 愛が、はじまるとき 「改訂版」

         8

 「そのかわり、
  下着だけで、
  一緒に、
  寝てください
  それで、
  私が、
  なにもしなければ、
  なおさら、
  そういう男もいるんだと、
  思ってもらえるんじゃないですか?」
 満さんはそう言うが、わたしは、すぐには返事しなかった。
 うまいことを言って、一緒に寝たら、ずるずるとセックスをしてくるんじゃないか、と思った。
 それでも、満さんのいままでの、とてもジェントルな態度に、信じてもいいかなと思った。
 下着だけというのが恥ずかしかったが、実験だと思えば、かえって下着だけになるほうが、いいのかもしれない。
 もしかしたら、下着もないほうが、と思ったくらいだ。
 実験なのだから。
 結果は、良かった。
 おずおずと、わたしが、満さんのとなりに寝ると、あまりからだを密着させずに、優しく抱いてくれて、
 「さあ、
  眠りましょう」
 「はい」
 「この状態では、
  すぐには、
  眠れないでしょうから、
  子守歌がわりに、
  里美さんの知らないような、
  昔話をしてあげます」
 と言って、屁こき嫁や吉四六ばなしなど、笑い話を話してくれた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ