
明日への扉 ~~ 伝えたい気持ち
第4章 バイト先・其の壱
「この分なら、何とか今日中に終わりそうだな」
悠里も軽く背伸びをして、見違えるように
小ざっぱりとした執務内を見渡し、
「後はこの状態が何日維持できるか? だね」
「賭けるか? 俺は3日と保たないに、2千円」
「2千円?? 大きく出たねぇ、幸ちゃん。
私今回は1週間くらいイケると思うけど」
「チッ チッ チッ チ ―― ユーリ、お前ひとつ
大切なコト忘れてんぞ?」
「大切な、コト?」
幸作は指でビシっとカレンダーを示し、
「あと2日でローザンヌの本戦だ」
「あーーーーっっt!!」
「それ以外にも、春先から初夏にかけては国際的
バレエコンクールが目白押しだからな、おそらく
彼も明後日辺りからココに缶詰めになるんじゃ
ねぇーか」
「同感」
するとネックストラップで首からぶら下げている
悠里のガラケーへメールの着信。
悠里、そのメールを開けて見て、
「 Σ(゚Д゚;) あらまッ ――――
フードエキスプレスの左門さんからだ。
6時から入れませんか? だって」
「ここはもう俺1人で大丈夫だからそっちに行って
やれよ」
「そ~お? いつも悪いねぇ」
「しかしユーリよぉ、お前今一体いくつ
バイト掛け持ちしてんの?」
「ええっとぉ……祠堂の雑役でしょ、
カフェのウェイトレスとぉ、マックの夜間清掃」
「げげっ ―― 金儲けもいいけど、
度が過ぎてダウンしねぇようにな」
「うん、ありがと。じゃ、残りの掃除お願いね。
お先ぃ~」
「お疲れぇー」
