明日への扉 ~~ 伝えたい気持ち
第3章 翌々日 ――
「あの、良かったらシャワー使って下さい」
私がやっとの思いで絞り出したアイデアを
提案すると、彼は『気にしないで』と
首を横に振った。
「いいです。迷惑ですし」
「あ、やっぱそう、ですよね……出過ぎた事を ――」
「あ ―― い、いやっ!
違う。俺がキミにそこまでしてもらうのは、
キミだって迷惑だろって意味でさ。
キミはちっとも悪くない」
急に落ち込んだ私を見て、
彼はひどく慌てた様子で私を励ましてくれた。
優しい人なんだなぁ ―― と
思いながら顔を上げると、
私の目の前には困り顔の彼がいた。
「私は迷惑じゃないです。
お兄さんが心配なだけです」
「俺が?」
「だからシャワーを使って下さい」
私はクローゼットから予備に買っておいた
新品のバスタオルを取り出し、
彼に押し付けた。
「……あ、どうも、ありがと。助かるよ」
「お風呂、この部屋を出た向かいのドアです」
彼は何度も頭を下げてから浴室に向かった。
彼が使った布団を簡単に畳んで部屋の隅に置き、
私は朝食の準備をする為に立ち上がった。