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愛って、ほんとにいいものですね 「改訂版」

第1章 愛って、ほんとにいいものですね

         8

 「おじさまは、
  その恵さんと、
  なぜ、
  結婚されなかったんですか」 
 「私は、
  結婚しようと言ったんです。
  恵は、
  帰ってきてからにしてほしい。
  自由なからだで勉強したい、
  そう言って、
  パリに行ってしまいました。
  そして、
  その後、
  連絡が途絶えてしまって」
 「そうだったですか」
 「出発する前の夜、
  一緒に過ごしたんですが、
  私は、
  恵の、
  自由なからだ、
  という言葉に縛られて、
  ただ、抱きしめていることしか、
  できませんでした」
 「おじさま、
  可哀想」
 「可哀想?」
 「でも、
  その頃でしたら、
  そう思われてもしかたないのかも…」
 「どういうこと?」
 「愛しているのですから、
  その、
  結ばれるのが、
  当たり前と思います」
 「だから、
  可哀想と」
 「はい」
 「そうだね。
  そのことは、
  後悔しているよ。
  愛しあいたかった」

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