たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第9章 杉並実果留・特別編
と、下の階の方から「武ー、ちょっと来てちょうだーい」と武ママの高らかな声が響いてきた。
「おっ。おふくろが呼んでる。ちょっと行ってくるな」
武は素早く立ち上がって、部屋から出ていった。
武のヤツ……いつもは面倒くさそうな反応するクセに。よっぽど勉強したくないんだ。
もうちょっと本腰入れてくれたら……コレも渡しやすいんだけどなー。
スクールバッグから、掌サイズの正方形の小箱を取り出した。
グレーのシンプルな箱に青いリボンが十字に巻かれてるコレは……
密かに用意した、武へのプレゼントだったりする。
中身はメンズのリングネックレス。チェーンはシルバーだけど、モチーフであるリング部分は、少し太めのブラック。
コレを見た瞬間、武にすごく似合うと思った。
更には――限定品。残りあとわずか。
店員さんからのその謳い文句に背中を押されて、私は購入を決めた。
一万いくらのそれは私にとっては高価な買い物で、当初決めていた予算よりも大分オーバーしたけど、購入出来た時はかなりの充実感を得られた。