たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第9章 杉並実果留・特別編
「たっ……武?」
「どうしても言いたくないなら……
俺の夢を、正夢にするしかねぇな」
「…………は?」
武の夢を……正夢?
と、ゆーことは?
「っ、んっ……」
武がいきなり唇を重ねてきたっ。
しかも――
「ふっ……んんーっ」
深くて、舌も入ってきて、濃厚だしーっ。
それをすること、数十秒……。
「っ……はぁっ……。実果留……いいよな?」
顔を少し離した武は、まどろんだ目で私を見つめながら、自分のネクタイを緩めた。
そんな顔で見下ろす武って、やたら色気があってドキドキするんだけどっ。
「た、武っ……ちょっと待って」
「いつかはシたいって思ってたんだろ?
ペアも身に付けたし……するなら今だろ」
と言ってネクタイを放ると、次はワイシャツのボタンを上から片手で外し始めた。
どんどん進められていく展開に、気持ちがついていけないっ。
「ま、待ってってばっ……。勝手に決めないでよっ」
「勝手に決めないと、いつまでも出来なそうじゃん。そうやって、ずっとオロオロと目を泳がせて迷いまくって」
「で、でもっ、でもっ、こ、心の準備がっ……」
「その準備っていつ出来んの? 何時何分何秒? 地球が何周した時?」
「いっ、意地悪っ。そんな詰め寄んなくたっていいでしょう!?」
「意地悪なのは、俺を焦らすお前の方」
ボタンも全部外すとワイシャツまでも放り、
半袖のTシャツ姿になったのも一瞬で、それもすぐに脱いだ。
わーっ。武が上半身裸にっ……。
武の半裸を直視出来ず、手で顔を覆った。