たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第5章 杉並実果留・最終話
スマホの時計を見たら、もう2時過ぎだった。
夕崎君と別れた後、すぐに帰る気になれなくてテキトーにぶらつき、それでこの時間。
今は近所をトボトボとした足取りで歩いている。
夕崎君……。
黒のミニバッグから、夕崎君が差し出した紺色のハンカチを取り出して見つめた。
(別に、洗ってまで返さなくてもいいですよ。捨てちゃっても構いませんので)
本当……優し過ぎだよ。それに、これを捨てるなんて出来るわけないじゃない。
私はハンカチを、またバッグにしまった。
……あともう少しで家に着く。
武は……熱下がったのかな?
昨日私が来たこと、きっと武ママが言ってるだろうから、武は知ってるかも……。
会いたいような、会うのが怖いような……。
武……まさか、昨日のこと覚えてたりしないよね?
もし、覚えていたら……
私は一体、どんな態度を取ればいいの――