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sweet poison【BL】

第2章 失った恋人との再会

「…大丈夫、ですよ。もう五年も経っていますから」

「そうですか」

それ以上、水野は聞いてこなかった。

五年前のことは、両親の他に水野も知っていたのを忘れていた。

高鳴る鼓動に無視を決め付け、陽一は仕事に集中した。



そして週末。

新幹線に乗って数時間後、陽一は五年ぶりに東京に訪れた。

「うわっ…。すっかり変わってる」

街の変貌ぶりに、思わず息を飲む。

「東京は変わりやすいですからね。さっ、行きましょう」

「あっ、はい」

水野に案内され、駅を出る。

そこからタクシーに乗り込んだ。

「先程の説明は覚えていらっしゃいますね?」

「…ええ、まあ」

新幹線の中は人がまばらで、内緒話ができた。

水野が言うには東京駅ですでに、護衛役の人間はついているらしい。

これからS&Mへ向かうが、あちらは陽一一人を指名してきた。

なので水野は入れない。

ビルの前には喫茶店があるので、そこで待機をする。

護衛役の人間はビルを囲むように、待機するらしい。

そして二時間以上連絡が取れない場合は、強行手段に出るという話だった。

「まあ何もないとは思いますが、念の為だと思ってください」

「分かっていますよ」

ここまで水野が心配するのは、ただ単に相手が怪しいからだけではない。

五年前のことも、関係しているのだ。

あの事件のことで、陽一は心に酷い傷を負った。

もう二度とそんな傷がつかないようにと、父と同じぐらいの心配性の過保護になってしまったのだ。

「不可抗力だったんだけどな…」

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