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sweet poison【BL】

第2章 失った恋人との再会

「? 何かおっしゃいましたか?」

「うっううん。夜は美味いもんが食べたいなぁって思っただけ」

「そうですね。良い店をご案内いたしますよ」

「水野さんの紹介か。楽しみにしてます」

「ええ」

タクシーに乗って四十分後、目的地へ到着した。

「えっ? ここですか?」

「ええ、ここです」

二人はビルを見上げ、顔をしかめた。

灰色の高層ビルは、しかし看板の一つもかけられていない。

どの窓も中が見れないようにされており、一階には確かに警備員達がウロついていた。

「どこぞの暴力団体とかの…ではなく?」

「残念ながら、間違いなくここなんですよ」

二人は同時にため息をついた。

「…ビルの前にいつまでも立っていたら、怪しまれますよね」

「ですね。では行きますか」

二人は複雑な表情を浮かべながら、ビルの中へ足を踏み入れた。

自動ドアは透明なガラス戸で、一階のフロアは丸見えだった。

フロアには二人の美しい受け付け嬢の他、警備員達が数名立っていた。

「あの、すみません。茜陽一という者ですが、本日S&Mの方にお会いする約束をしていたんですが…」

「茜陽一さまですね? 伺っております。こちらへどうぞ」

受け付け嬢が手で指し示したのは、エレベーターだった。

「では陽一さん、後は頼みましたよ」

「分かっています」

呼ばれていない水野が行けるのは、ここまでだった。

何せ受け付け嬢の二人が、笑みを浮かべながらも鋭い視線を水野に向けているのだから。

その迫力に押され、二人は別れた。

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