テキストサイズ

sweet poison【BL】

第2章 失った恋人との再会

羽月の母親は勤めに出ていた為、その間、羽月は陽一の家に預けられていた。

陽一は元々人懐こいタイプだったおかげで、二人の仲はすぐに良くなった。

そして中学二年の時に告白されて、急激に進んだ。

中学まではキスまでだったが、高校一年の夏休みにはじめて結ばれた。

陽一の両親が羽月の母親を旅行に連れて行きたいと言い出した時、二人は一緒に行くことを辞退した。

それはもちろん、二人っきりで過ごしたかったからだ。

三人が三泊四日の旅行に出ている間、二人は陽一の部屋のベッドの中で過ごした。

恋人として、最高の時間を過ごせたと思う。

―だがそれも長くは続かなかった。

高校三年の冬に、羽月の母親が病気で亡くなったのだ。

元々あまり丈夫ではなかった為、二人が高校生になった頃には病院で過ごすことが多くなっていた。

だが羽月の母親の死が、その後の二人に大きな影響を残した。

初七日も迎えないうちに、三人の男性が羽月のアパートを訪れた。

何事かと、陽一も陽一の両親も羽月の元へ行った。

三人は羽月の父親の使いだと言った。

それまで羽月の父親のことは一切聞いていなかった陽一は眼を丸くしたものの、両親や羽月は困った顔になっていた。

そして彼等は羽月に父親の元へ戻るようにと言ってきたのだ。

羽月と父は強く拒否したものの、その後も三人はたびたび姿を見せた。

なので陽一は思いきって、母に聞いてみたのだ。

羽月と、羽月の母親のことを。

戸惑い顔の母が告げたのは、にわかには信じられない真実だった。

羽月はとある権力者の愛人の子供で、しかもたった一人の息子なのだという。

羽月の父には正妻がいたものの、彼女との間には娘達しかいなかった。

後継ぎになるかもしれない羽月の存在を正妻が疎み、何かと嫌がらせをしてきた。

そのことに羽月の母親は心身ともに傷付き、親友である陽一の母親を頼って来たのだ。

いや、正確には逃げて来た。

しかし羽月の母親の死が耳に入り、居所がバレてしまったらしい。

しかも羽月の父親は会社を経営しており、当時陽一の父親が働いていた会社とも繋がりがあったらしい。

このままだと羽月の父親の怒りに触れ、もしかしたら会社をクビにされるかもしれないと、母が言っていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ