sweet poison【BL】
第4章 生き残った者の未来
それから陽一は半年の間、療養していた。
自分が眠っている間に羽月を失ってしまったことはショックだった。
しかしそれ以上に、何も言わずに殺されていたかもしれないことに、心はダメージを負っていた。
相談もされなかった。
そんな様子、欠片も見せてはくれなかった。
「羽月っ…!」
美しく花に満ちた庭で、思うのは自分を殺そうとした男のことばかり。
花の匂いが、あのもがき苦しんだ時に体に満ちた匂いと重なり、何度も咳き込んだ。
―あの事件以来、紅茶が飲めなくなったのは言うまでもないことだった。
苦くて苦手だったコーヒーを飲むことによって、あの味と匂いを消そうと必死になった。
そして何とか回復してからは、父と水野の仕事を手伝うようになった。
東京でも成功していた二人の手腕のおかげで、仕事が楽しく思えた。
満ち足りた生活の中でも、ふと自分の中でよみがえる羽月の姿と声に、何度も気を失いそうになった。
けれど…心のどこかで、本当に死んだのかと疑問に思ってもいた。
何より父の態度が気になった。
あれほど羽月を可愛がっていたのに、墓参りに行こうとすらしなかったし、言い出しもしないのだ。
本当に亡くなっているのなら、一度ぐらいは行くはずだ。
いくら息子である陽一を道連れにしようとしたとしても、それでも行くような男だった。
ところが引っ越してからというもの、両親は一度もこの土地から離れなかった。
陽一もあえて出ようとは思わなかったが、両親の場合は不審に思ってもいた。
自分が眠っている間に羽月を失ってしまったことはショックだった。
しかしそれ以上に、何も言わずに殺されていたかもしれないことに、心はダメージを負っていた。
相談もされなかった。
そんな様子、欠片も見せてはくれなかった。
「羽月っ…!」
美しく花に満ちた庭で、思うのは自分を殺そうとした男のことばかり。
花の匂いが、あのもがき苦しんだ時に体に満ちた匂いと重なり、何度も咳き込んだ。
―あの事件以来、紅茶が飲めなくなったのは言うまでもないことだった。
苦くて苦手だったコーヒーを飲むことによって、あの味と匂いを消そうと必死になった。
そして何とか回復してからは、父と水野の仕事を手伝うようになった。
東京でも成功していた二人の手腕のおかげで、仕事が楽しく思えた。
満ち足りた生活の中でも、ふと自分の中でよみがえる羽月の姿と声に、何度も気を失いそうになった。
けれど…心のどこかで、本当に死んだのかと疑問に思ってもいた。
何より父の態度が気になった。
あれほど羽月を可愛がっていたのに、墓参りに行こうとすらしなかったし、言い出しもしないのだ。
本当に亡くなっているのなら、一度ぐらいは行くはずだ。
いくら息子である陽一を道連れにしようとしたとしても、それでも行くような男だった。
ところが引っ越してからというもの、両親は一度もこの土地から離れなかった。
陽一もあえて出ようとは思わなかったが、両親の場合は不審に思ってもいた。