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sweet poison【BL】

第5章 相対する二人の心

「っ!」

よりにもよって、水野の人脈からバレてしまったらしい。

「…それじゃあ今回の契約も、ウソか?」

「それはウソじゃない。確かにキミをここに来させる為に用意したけれど、本当でもあるんだ」

あまりに条件が良すぎた理由は、ここにあった。

契約の担当者が羽月ならば、頷ける内容なのだ。

「営業をしている陽一の為になるだろう? だから契約の話を持ちかけたんだ」

「こんな条件を用意してまでか?」

「もちろん。元々この会社だってそうだしね。…会社の名前の意味、分かる?」

意味ありげに微笑みかけられ、陽一は考えた。

そして思い当たることがあり、恐る恐る口を開いた。

「サン&ムーン…オレ達の名前か?」

「大当たり。さすが陽一だね」

S&Mは太陽と月という意味だった。

まだ二人が出会ったばかりの頃、お互いの名前のことで話したことがあった。

茜陽一と智弥羽月。

二人の名前には、空に関わる言葉があると笑顔で語っていた。

陽一の名前には太陽が、そして羽月には月があったから。

S&Mはそれを英語にして、略しただけ。

そのことを悟り、陽一は深く息を吐いた。

「…会社の名前を聞いた時に、断るべきだったな」

「酷いなぁ。ボクに会いたくなかったの?」

「自分を殺そうとした相手に、どうやったら会いたい気持ちを持てるんだよ?」

陽一は震える手で、自分の頬を包み込む羽月の両手を払った。

「大体、何でオレは死ななかった? 毒薬の量が少なかったのか?」

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