テキストサイズ

異常性愛【BL】

第1章 1

 ならば逆に、此奴の嫉妬心を擽って更に仲を深めよう。そう、考えたのだ。唯――。

 思った以上に其れを話すのは、勇気が要る――。

「酒でも飲みながら話そう。静かな場所が良いから、個室のある店が良い――。何処か予約の要らない所、知らないか?」

「え? 知ってはいますが――。深刻な話、なのでしょうか?」

「――まぁ......な」

 少しの沈黙の後、榊原は「分かりました」とだけ答えた。

 困惑しているような、だが少し棘のある声で。分かっている、私が御前でなく一番最初に戸田に話したのが気に食わないのだろう。
嗚呼、分かっているさ。だが安心しろ、全て聞かせてやる。

 だが其の為には少しばかりの勇気がいる。強い酒でも入れて話すか――。嗚呼そうだ、そうしよう。

 そして――。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ