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僕ら二人

第1章 プロローグ

タバコを吸える場所を探してそぞろ歩きしていたら、町外れにある古びた喫茶店まで来てしまった。

純喫茶『シーサイド』

とは言えここから海まではクルマで20分以上かかる程の距離がある。

「シーサイド」というには海から遠すぎるこの店は、夜間は居酒屋をやっていた。

島津が育った実家はさらに5キロほど西に行った所だ。

今は取り壊されてもう無い。


空っぽのショーケースにモーニング営業中の看板が出ていた。

正確には空っぽではない。

薄汚れたガラスの中、フォークが空中に浮かんでいるナポリタンのサンプルが何故か一つだけ。

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