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僕ら二人

第1章 プロローグ

カランカラン〜


たしかスタンプが貯まってたはずなんだけど…

財布の中身を調べて角のボックス席に座った。


「いらっしゃいませ」

すぐに少女が水を運んできた。


赤いビロードの摩り切れたシート。

所々に穴が開いていたり。

店の隅にはジュークボックスとピンボールマシンが一台。


島津は有効期限のないカードを少女に差し出した。

「これ、コーヒー1杯無料になるんですか?」

「はい。モーニング以外のセットだと割引になりますけど」

「ごめんね、コーヒーだけでいいや」

「ホットでよろしいですか?」

「うん」

「かしこまりました」

セーラー服の上にクマのプーさんのエプロンを付けた可愛らしいウェィトレスは軽く会釈した。


この店の子かな。

そう言えば目鼻立ちがよく似ている。

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