無表情の宇野くんA
第54章 プールとホテル④。
五味さんはそこで大声でもあげれば良かったのでしょうが、しかしそんな勇気はありませんでした。
まあいわゆるただのナンパです。
しかし、五味さんは男に対して若干の苦手意識があるからか、相当に怯えていたようで、
「友達と一緒に来てて──」
「え?友達なんてどこにいるの?こんな可愛い子一人にしちゃう薄情なそのお友達さんより、俺たちと遊ぼ?一人にされたならこっちがし返しちゃおうよ」
なんて、そんな言葉で強く返されたら、もう返す刀がなかった。
おまけに、一人の男が五味さんの肩を抱いて無理矢理どこかに連れて行こうとしたものだから、五味さんは拒否しながらも、その力に抵抗できなかった。
そりゃ五味さんのようなか細くか弱い少女がそんな状況にいたら怖いことだろう。私なんかの発想だと、刺激したら刺されるのではないかとも考えてしまう。
「私はなんにもできなくて、怖くて、怖くて......ただひたすら怯えてて。でもそこに宇野くんが来てくれたの。まるでヒーロみたいに」
ベタな展開といえばベタな展開だ。しかし、その時の五味さんにはヒーローに見えたことだろう。
しかも、今まで無表情無口だった宇野くんが、
「離せ!!!!!!!!!!!!」
なんて、大声を出したものだから、さぞ驚いただろう。
宇野くんは男たちをはねのけ、五味さんの手を取った。
「ごめん」なんて言わないが、その目は五味さんに対する謝罪の気持ちを語っていた。
「おい、ちょっとその態度はないんじゃないの」
「俺たちと遊ぶってその子は了承してくれたんだよ、つかお前誰だよ、関係ないならどっか行ってくれる?」
男たちはそんなことを言いながら宇野くんから五味さんを奪おうとしたが、宇野くんはその手を弾いてギロリと睨む。
その態度が気に食わなかった男のうちの一人は、宇野くんの顔面を殴った。
まあいわゆるただのナンパです。
しかし、五味さんは男に対して若干の苦手意識があるからか、相当に怯えていたようで、
「友達と一緒に来てて──」
「え?友達なんてどこにいるの?こんな可愛い子一人にしちゃう薄情なそのお友達さんより、俺たちと遊ぼ?一人にされたならこっちがし返しちゃおうよ」
なんて、そんな言葉で強く返されたら、もう返す刀がなかった。
おまけに、一人の男が五味さんの肩を抱いて無理矢理どこかに連れて行こうとしたものだから、五味さんは拒否しながらも、その力に抵抗できなかった。
そりゃ五味さんのようなか細くか弱い少女がそんな状況にいたら怖いことだろう。私なんかの発想だと、刺激したら刺されるのではないかとも考えてしまう。
「私はなんにもできなくて、怖くて、怖くて......ただひたすら怯えてて。でもそこに宇野くんが来てくれたの。まるでヒーロみたいに」
ベタな展開といえばベタな展開だ。しかし、その時の五味さんにはヒーローに見えたことだろう。
しかも、今まで無表情無口だった宇野くんが、
「離せ!!!!!!!!!!!!」
なんて、大声を出したものだから、さぞ驚いただろう。
宇野くんは男たちをはねのけ、五味さんの手を取った。
「ごめん」なんて言わないが、その目は五味さんに対する謝罪の気持ちを語っていた。
「おい、ちょっとその態度はないんじゃないの」
「俺たちと遊ぶってその子は了承してくれたんだよ、つかお前誰だよ、関係ないならどっか行ってくれる?」
男たちはそんなことを言いながら宇野くんから五味さんを奪おうとしたが、宇野くんはその手を弾いてギロリと睨む。
その態度が気に食わなかった男のうちの一人は、宇野くんの顔面を殴った。