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見破られたヌードモデル

第2章 偽りのヌード

恋人に抱かれるときも、実は例外でない。
服を脱いでいく、あるいは脱がされていく途中は恥ずかしい──陶酔と区別がつかないだけで、絶対に平静ではいられない。

何回体を重ねても、服をはだけられ下着を蹂躙される感覚はいつまでも鮮烈で、ようやく全裸になれたときは安堵と幸福で満ち足りている。

でも今は、たった一枚の布を取り去ることができない私がいる。

ヌードモデルが全裸になれなくてどうするの。

しかたがない、後ろ向きで……。

画家は何も指示しない。

まるでチョウの脱皮を冷静に観察するように、
背中を向けて最後の白布を下ろしていく私を見ていた。
……そう、観察すらしていない。見ていただけだ。

一方で、臀部をさらしたことに今さら気づいて赤面する私がいた。

必死で感情を押し殺して向き直った私を見ても、画家の表情に変化はない。

無事に絵の材料が手に入ったという軽い達成感のようなもの、それだけだった。

──最初は楽なポーズでいい。
私の裸に対するコメントはなかった。

──手をお尻の後ろで軽く組んで、自然な感じで立って。

簡単な指示だけだった。

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