
ホントノ私ハ、此処ニイル
第2章 第2話
そこまで聞いてハッとしたと同時に、背中をひやりとした空気が伝っていきました。
今日は金曜日。
金曜日の夕方は、わたしがひっそりと登録しているSMサイトの掲示板から、メールが転送されてくるちょうどその日時なのです。
「自分の携帯だと思って、つい開けちゃったんだよね。そしたらさ……」
およそ半年ほど前から“レイカ”というハンドルネームでそのサイトに通うようになり、ふた月前には調教してくださるご主人様にも恵まれました。
もちろん、SMというものの特性上、サイトで交わされる会話以外はすべて秘密裏で行われる交流であり、“ご主人様”と言えど顔も姿も声も知らない相手ですが、それゆえに自分の本能の赴くままに快感を得られたのだとも思います。
