ホントノ私ハ、此処ニイル
第1章 第1話
「ここじゃないとすれば、金庫ですかねぇ……」
「金庫か。ちょっと確かめてみようか?」
「はい……」
おかしいなぁ、と小首を傾げながら、ふたり連れ立って支店の奥にある金庫室に向かった。
銀行の金庫室は、支店の大きさにもよろうが大人が3、4人は同時に入れる広さがある。
電気は付くが、密室な為にあまり明るくは感じない。
この明るさが、調度いいじゃないか。
「今日、出し入れしたとすればこのあたりなんですけど……」
――ピピピ、ピピピ、……
彼女の言葉を遮るように私の携帯の呼び出し音がなった。