テキストサイズ

ホントノ私ハ、此処ニイル

第2章 第2話


「俺もね、持ってるんだ」

「な……」

「手錠」

 「何を?」と言いかけて渡辺さんの顔を見上げると、左側の口角が上がり、その表情は微笑みからたくらみへと変わっていきました。


「どう? 本物でイジメられてみたくない?」


 期待と不安とがわたしの胸のなかで膨張し、はち切れてしまいそうです。


「俺がご主人様になってあげるから」


 渡辺さん、いえ、ご主人様のそのひと言は、今までどうしても満たされなかったわたしの心の一部分にぴったりとはまりました。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ