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ホントノ私ハ、此処ニイル

第3章 第3話


 家までの帰り道、僕は少し虚しかった。

 妻とはそれなりに行為を重ねたはずなのに、行為があるだけで、気持ちがおいてきぼりだったのかと思ったら。


 僕は悲しかった。

 妻を前にしてしか勃たない僕は、きっと妻を愛しているのに、その気持ちをうまく伝えられずに、愛する妻を裏切るような真似をしてしまったから。


 僕はとても淋しかった。

 僕は自分のできうる限りで妻を愛しているのに、きっと妻は、僕の何分の1でしか僕を思ってはくれていないのかもしれない、と思ったから。



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