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ホントノ私ハ、此処ニイル

第3章 第3話


「ただいま……」

 あの日も僕が家に着くと、妻はダイニングテーブルに突っ伏して寝息を立てていた。

 連日、残業で疲れていたにも関わらず、僕の夕食まで準備してくれていて、その横で寝ていたのだ。

 その姿に、自分がしてしまったことへの後悔がこみあげて、妻の頬を撫でながら泣いてしまった。


「ごめん……」

 おそらくそんな言葉を呟いていたのかもしれない。

 頬を触る僕の手がうざったかったのか、妻は「んん……」と眉間にしわを寄せて目を覚ました。

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