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ホントノ私ハ、此処ニイル

第3章 第3話


 妻が初めて嫉妬してくれたあの日、僕は知ってしまったんだ。

 穏やかな日常に、どこかしらの物足りなさや不安を抱えていたのは、僕だけじゃなかったってこと。


 それまでごく普通にベッドで愛し合うことが、“穏やかさ”を決め込んだ僕ら夫婦の日常だった。


――僕より体温の低い妻。


 愛し合っている最中でさえ、お互いにどこか気を置いていたのかもしれないね。


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