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ホントノ私ハ、此処ニイル

第3章 第3話


 僕らは今まで、いつも周りから穏やかでいることを当たり前のように思われていて、自分達もそれが“僕らなんだ”と思い込んでいたんだよ、きっと。

 でもね、それだけじゃ、あまりに満たされないものが大きかったって、気付いてしまったんだ、僕も、君も。

 だからこうして、本当の僕らを確かめ合うんだ。



 ロープを肌に滑らせる度に、ほんの少し身もだえする妻。

 こんなわずかな反応さえも、僕は見逃したりはしない。

 首から胸元を過ぎてみぞおちまで縛った中途半端な状態で、僕は一度手をとめる。

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