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ホントノ私ハ、此処ニイル

第1章 第1話   


 自身のM性を自覚し、すでに何度も調教されたことのあった彼女は、自分により合うS性をもつ男性を探していたらしい。

 当時の私はSMについて何の知識もなかったはずなのに、いじらしい彼女の姿に私の口をついて出てきた言葉は自然と彼女を蔑み、彼女を辱めるものであった。


――泣きながら悦ぶ女


 その姿に、胸が震えた。


 それまで得たことのない快感を覚えてしまった。

 S性の自覚である。


 それまでいわゆる「彼女」というステディな関係の女性がいないわけではなかった。

 だが、どの女性とも燃え上がるような感情が沸くことなく、心の底から求め合うこともなかったように思う。

 別れ話を切り出されても、何一つ名残惜しさが生まれなかったのだから。

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