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天気師の少年

第3章 気象系アイドルユニット誕生

その一瞬の間にレインはギターやグッズを手早くギターケースにしまった。

「くそ~っ、くそ~っ」

2回も激しく全身を打ち付けたのに男は立ち上がった。すっかり頭に血が登って、レインを連れ去ってセクシーアイドルに仕立てあげようとしていた本来の目的もすっかり消え去って、レインや風海をぶっとばそうと獣のように襲い掛かってくる。

風海は今度はピンポイントでなく盛大な風嵐を呼んだ。男はまたまた盛大に吹っ飛んで、風海とレインは風に乗って飛んで行った。

レインは大事そうにギターケースを抱えて飛んでいるのでスカートはヒラヒラしている。

こんな緊急事態なのにスカートの中が見たくて風海は必死になっている。その様子を見てレインは愉快そうに笑う。

「もう、本当にエッチなんだから。バカね、ちゃんと短パン穿いてるわよ」

レインが笑ながら言ったようにめくれたスカートから見えたのは短パンだったのでちょっとガッカリしたが、形のいいお尻が見れたのは大きな収穫であった。

一方またまた盛大に吹っ飛んだ男はボロ雑巾のようになってゴミ捨て場に叩きつけられた。
ゴミに埋もれていると自分もゴミに思えてくる。女のコを騙して、脅して、裸にして稼いでいるような自分は確かに社会のゴミだと情けなくなって涙を流す。

「これは神風なのかな・・天罰って本当にあるんだな」

男は中学や高校の時から不良で、素行は悪かった。問題を起こす度に大人たちから悪いことばかりしているといつか天罰が下ると言われたことが思い出される。

風に乗って風海とレインは遠くの街まで飛んできた。

「ごめん、つい頭に来ちゃったけど、いっぱい稼げるって言ってたし、稼ぎの邪魔しちゃった?」と風海は急に心配そうな顔をする。

「ううん、助かった。ありがとう。どんなに稼げなくたって体を売るようなことは絶対しないんだから。みくびらないで」とレインは勝ち気な笑みを浮かべる。

「♪裸には~ ならないわ~ どんなに蒸し暑くても わたし~ ガマン強い方なの 裸には~ ならないわ~」

とレインは平成初期の頃に森高千里が歌っていた曲をカバーして弾き語りを始めた。

弾き語りを始めると観客が集まってきた。
風に吹かれてアーティストがやってきたと話題になって投げ銭も次々に貰えた。

レインはすっかり気を良くして予定外の路上ライブを始めた。

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