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天気師の少年

第3章 気象系アイドルユニット誕生

オリジナル曲も披露したらワリとウケもよくて物販もけっこう売れた。
レインはすっかり上機嫌になった。

「キミはやっぱりスゴいねぇ。せっかくの力なんだからよからぬことになんか使わないであたしと組んで気象系アイドルをやろうよ」

「気象系アイドル・・?」

「まあ詳しい話は後でゆっくりと。どうせ家出とかしてるんでしょ。ウチにおいでよ」

とすっかりレインのペースになって家まで連れて行かれた。
女のコの家なんて初めてだとドキドキしたが、風海が妄想してた可愛いとかメルヘンとはかけ離れたボロボロのアパートだった。

「何?何か文句ある?」

ちょっとガッカリしたのを見透かされたようにレインは悪戯っぽく笑ってツッコミを入れる。

「都会で家賃3万円台の物件を探すのは大変だったんだからね。それでトイレもお風呂もあるんだから上出来でしょ」

アイドルといってもそんなに稼ぎがあるワケではない。昼間風海と出会うまでみたいに全くお客さんが来ない時もある。生活していくのはけっこう大変なのだ。

「あたし本名は雨藍(うらん)。あなたは?」

「風海」

「風海くんか。いい名前ね。それじゃあ芸名はフーミンでいいか」

「芸名って・・本当にやるの、気象系アイドル」

フーミンという名前は可愛くて好きになったが、何だか女のコっぽいなぁと風海は思った。
まあ、いい歳したジジイのくせにヒフミンなんて可愛い名前で呼ばれてる囲碁の名人もいるかと思ったりもした。

「やるよ。絶対に人気出るから。あっ、言っとくけど、BL大好きな腐女子のお姉さんたちが大好きな気象系アイドルじゃないからね」

と言って雨藍はくすっと笑った。
なるほど、部屋にはその気象系アイドルの写真とかがある。もしかしてBLを妄想してオナニーとかしてるのかなと思うとドキドキしてくる。

「こらっ、またいやらしいこと考えてる」と言って雨藍は笑った。

「あなたには本当に天気を操ることができる巫女さんになってもらいます」

いやらしいことなんて考えてないと否定をする間もなく雨藍は突拍子もないことを言い出した。言い出したかと思うと次の瞬間にはクローゼットをがさごそとやって巫女の衣裳と黒い長髪のカツラを出して風海に押しつけた。
どうやら着替えて巫女さんになれということのようだ。

きっとこれはライブ衣裳なのだろう。
巫女さんの姿でのライブも見てみたい。

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