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天気師の少年

第1章 ホームレス始めます

夜の街では街灯の下で灯りに照らされて昆虫が人目も憚らず交尾をしている。

何であんなところでと思うが、人だってラブホテルみたいな妖しい光に照らされて事をすると思えば、街灯の灯りが昆虫にとってのラブホテルだと思える。

昆虫だってああやって交尾をしているのにと思うと童貞な自分は虫以下だと更に気が重くなって風海はどんよりと歩き出した。

「兄ちゃん可愛いね~。家出かい?行くところないならウチに泊めてあげるよ。飯も食い放題」

風海がどんよりと歩いていくといかにも遊び人といった雰囲気を醸し出している男がやたらフレンドリーに話しかけてきた。

ナ、ナンパ・・と風海は顔を赤らめる。
まさか男にナンパをされるとは夢にも思わなかった。わりとイケメンだから女にモテないワケではなさそうなのに男を専門にしている輩だ。

それにしても何で家出だと分かったんだろう?
神待ち少女といって家出をして住むところや食べることに困っている少女にカネを渡していかがわしいことをする輩が都会にはいるって聞いたことがある。

そういう輩はパッと見ただけで神待ち少女だと分かるのだろう。
男を専門にして神待ちをいただく輩もパッと見て神待ちだと分かるんだと感心した。

とりあえず当面は食べたりするのに困らないけど、そんなに神待ちみたいに見えたのかな?
サセ子でオナニーしちゃったり、虫の交尾を見て惨めで情けなくて落ち込んでいたのが神待ちみたいに見えたのかなとも思う。

男が肩を抱いてきたので妙にドキドキして、童貞という重く苦しい荷物を降ろせるのなら男が相手でもいいかなと思ってしまって、コクンと頷くと男に従ってついて行ってしまった。

男に連れていかれたのは妖しいネオンが光るバーだった。バーでは男が男を抱いて酒を飲んでいる。まるでキャバ嬢を抱いて酒を飲んでいるみたいな光景だ。

「おう、新人のコだ。可愛がってやってくれよな」と男が言うと客のひとりがやたら風海に注目してきた。

「可愛い~。よろしくね」と色目で風海を見る。

「もう。あたしという者がありながらすぐ浮気するんだから~」

客の男に肩を抱かれていた男が拗ねたように口を尖らせる。男が女のコみたいな口調で喋るのはとても奇妙でキモチ悪く思えた。

「今日はダメだぜ。まずオレが手解きを教えてやるんだからな」と男はまた風海の肩に手を回す。

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