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ヌードモデルとアンドロメダ伝説

第4章 アンドロメダの裸を語る

一応これで終わりです、あとの背景描きや仕上げは独りで出来ます、と川村さんは言った。

確かにキャンバスにはかなり緻密なエスキースが出来ていた。
ただ緻密すぎて乳首を描いてないのがわかってしまった。

ついでにいえばローブが隠す乳房の膨らみは原形よりも大きく美しく修正されていた。
──ありがたいけど、乳首といい、お尻といい、無駄に見せてしまったことになる。

「描きながら話すつもりでしたが」

中途半端に契約時間が余ったので、川村さんがコーヒーをいれてくれたけど、私は裸にローブのまま。

「アンドロメダの裸を見て、ペルセウスが妻にしたくなって助けた、と読める書き方をした本もあります」

あ、それ、私の読んだ本にもあった。
もっと露骨に「この人と結婚できるなら助けます」と王様にアピールするペルセウスもいた。(おい、結婚できないなら見殺しかよ)

「これでは、捨て身の婚活ではありませんか」

あ、その指摘は結構笑える。

「アンドロメダをヌードで描いてきたのは、単にヌードを描きたかったからということで間違いないでしょう。裸の表現は神話の世界だけに許された時代なのですから」

同感です。

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