
君と僕の世界(嵐)
第3章 ♡ 雨の日の喧嘩
翔ちゃんは照れることも慌てることもなく平然とそこに立っていた。まるでそれが当たり前みたいに
和也「ななな、な、なんでいるの?!」
翔「んー、なんでってなんで?」
和也「いや、だから、ちょ、」
翔「ここ濡れる。入ってもいい?」
和也「え、あ、まっ」
翔「お邪魔しまーす」
動揺する俺を横目に翔ちゃんはずかずかと家の中へ入って来る。翔ちゃんに会えたのはすごく嬉しい。…だけど状況が理解出来ず、俺はただ翔ちゃんの後ろ姿を呆然と眺めていた。
翔「…なにしてんの?もてなしてよ」
和也「ぇ…あ、ああ…」
とりあえずお茶でもいれて話を聞こう。翔ちゃんは緑茶が好きだから、こんな日のためにストックを買っておいたんだ。
翔「汚ったない部屋…。」
和也(第一声それかよ)
乱雑に積まれた数百のゲームソフト
あちこちに散らばるコンセント
俺にとっては最適な環境だが、
他から見たらそうは思えないだろう。
和也「ソファにでも座ってて、お茶いれてくる」
翔「ありがと」
今日の翔ちゃんはなんだか無愛想だ。
機嫌が悪いようにも見えるが、多分彼もこの状況に少なからず動揺しているのだろう。
繰り返すが俺たちは1週間、仕事以外で口を聞いていない状況だ。
なぜ彼がここに来たかはわからない…が、何か進展を求めているのは確かなはず。
…
まさか…別れ話を持ち出す気じゃ…ああ、いやいや、そんなことない!大丈夫!俺たちの関係はそんなヤワじゃない!大丈夫!大丈夫!
俺は呪文のようにそう自分に言い聞かせた。
…さっきまでネガティブ日本代表みたいな思考をしていたくせに、こういう時だけポジティブだ。
和也「お茶…いれたよ」
翔「ん」
翔ちゃんの隣に座ると、
俺を見ることなく一気にお茶を飲み干した。
…めちゃくちゃ意識してるのが目に見えてわかる。
和也「えと…今日は…何しに来たの…?」
ああ、この言い方は棘があったかもしれない。
だけど俺だって、そんなことまで考えられるほど正常に頭が回らないのだ。
翔「…話があって、きた」
和也「…うん」
そんなのは分かってる。アポなしで来るくらいだ、
相当の理由があるのだろう。
…俺はその理由が気になるんだ。
