
君と僕の世界(嵐)
第5章 遊園地デート
その表情はいたずらっ子な子供みたいに見えるけど
彼は頭が切れる。話だけでも聞いてみよう。
そんな俺を見て翔ちゃんはもう一度ふふっ と口角を上げると、しらっぽのルーズリーフに何やら文字を書き始めた。
翔「…よし、これ。」
和也「なに…?」
自信満々にペンを机に叩きつける。
その用紙にはたった一文だけ、こう書いてあった。
『来週の水曜日、14時頃に駅で待ってます。』
和也「…え?」
読んだところで理解はできないし、変態じみているかもしれないが
お世辞でも綺麗とは言えないその字体で
わざわざ俺のためにこの一文を書いてくれたことが
なんだかすごく愛おしい。
翔「デート、デートしよ。この日2人とも休みでしょ?」
和也「え…あぁ。そ、そうだけど、これは…?」
翔「だから、デートのお誘い。自分たちの立場なんて忘れてさ、思い切りデートしようよ。」
デート…ああ、デートか。
デートのお誘いって…そうか、こうやって手紙を書いて誘う人もいるのか。
翔「その日、絶対かずのこと楽しませるから。その時感じた気持ち、歌にしてみたらどうかなって。」
和也「…なるほど。」
少しずつ理解が追いついていく。
今までの気持ちを歌にしようとしたところで
莫大な愛の気持ちを満足いくまで表現するのは難しい。
だから翔ちゃんと改めてデートをして、
その日感じた気持ちをメインに作詞をする…という作戦か。
翔「きっといいアイデアが浮かぶと思うんだ。それに、作詞のためだけじゃないよ。俺がかずと一緒にいたいから。」
和也「…わかった。この案に乗るよ。」
たとえこれと言った出来事が起きなくても
翔ちゃんとの一日デートはスランプな俺にとって最高のスパイスになるに違いない。
それに…
真昼間からデートなんて…まるで普通のカップルみたいじゃん…!
翔「よし、じゃあ決まり。ちゃんと時間通りに来るんだよ」
和也「うん。…あ、でも、待ち合わせはいつも通り家の方がいいんじゃない?俺達が駅に突っ立ってるのは危険な気がするけど」
