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Melting Sweet

第6章 Act.6☆

「夕純(ゆずみ)さん……」

 杉本君は私の下の名前を呼び、口角の辺りにキスする。

「――辛いですか?」

 初めて『夕純』と呼ばれたことと、杉本君の染み入るような優しい声音に私の胸がジンと甘い熱を伴う。
 私も杉本君に応えたい。
 そう思い、意を決して口にしてみた。

「辛くないわ。君と――衛也(もりや)君と繋がることが出来て嬉しいもの」

 衛也君はビックリしたように目を見開く。
 でも、すぐに嬉しそうに破顔し、「ありがとう」と言った。

「俺も、夕純さんと繋がってたいです、たくさん……」

 衛也君が身動きする。
 最初は緩やかに、そして徐々に速度を増してゆく。

「あっ……んんっ……あぁっ……」

「ゆ……ずみ……さん……」

 私に衛也君の情熱をぶつけながら、何度も名前を呼んでくれる。
 それが嬉しくて、愛おしくて、眦から涙が溢れ出る。

 衛也君の律動は激しくなる。
 水音が鳴り響くほど最奥を打ち付けられるたび、ベッドもギシギシと軋む。

 衛也君とのセックスは、これまでとは比較にならない。
 抱かれながら幸せを噛み締められるのは、衛也君が私を心から想ってくれていることが伝わってくるから。
 そして私自身も、衛也君を絶対に手放したくないと切望している。

 ずっと厄介だと思っていた存在。
 突っぱねても突っぱねても、全く懲りることを知らない鈍感な衛也君。
 けれども、本当に鈍感だったのは衛也君じゃなくて私だった。
 私自身の本当の気持ちに。

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