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Melting Sweet

第2章 Act.2

「それにしてもあっついですねえ。もう日が暮れかかってるってのに。俺、暑いの苦手だからしんどくて敵いませんわ。唐沢さんはどうですか? 暑いのは平気ですか?」

「平気な人なんてそうそういないんじゃない?」

「そりゃそうですね」

 可愛げのない返答に、杉本君が困ったように肩を竦める。
 さすがに私に懲りたかと思ったのだけど、杉本君はなおも私に話しかけてくる。

「唐沢さんは酒好きですか?」

「――別に嫌いじゃないけど……」

「普段、どんなのを飲んでるんですか?」

「どんなの、って……。普通にビールとかチューハイじゃない?」

「へえ。唐沢さんはお洒落なカクテルのイメージがありましたけど、意外と庶民的なものも飲むんですねえ」

「――当然じゃない。私は一般ピープルだもの。カクテルも飲むことは飲むけど、そんなに小洒落た店なんてそんなに行かないわよ」

「もしかして、バーよりも小料理屋的な場所の方が好きとか?」

「別にどっちでも――って杉本君……」

 質問攻めにげんなりした私は、深い溜め息を漏らし、眉をひそめながら杉本君を軽く睨んだ。

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