お稲荷こんこん
第2章 ばあちゃんのこと
スーツケースを整えると玄関の土間に置く。
ばあちゃんは台所でくるくると動いてる。
「ばあちゃん、何してるん?」
声を掛けながら近づくと、ばあちゃんは新聞紙の包みを作り終えて。
「ほれ、持って行き。りんが仕込んだお稲荷だ。」
私の両手にポンと乗せた。
「あ…そっか。忘れてた…。ばあちゃん、食べてみた…?」
思い出したように、ドキドキしてきた。
「いいや、まだだよ。後でお狐様にお供えしてから食べるから。」
「ええ…。ばあちゃん食べてみてからお供えしてよ。もし美味しくなかったら、お狐様に失礼じゃない…」
自信が無いから、弱音を吐いてみる。
「大丈夫、大丈夫。きっとお狐様も気に入ってくれるで。心配するなあ。」
そんなやり取りの中、颯爽と軽トラが登場。
大下のおっちゃんだ。
「おお、間に合った間に合った。りんちゃん帰るって言うから急いで来たよ。」
「そうなの? さよならを言いに来てくれたの?」
笑いながら近づくおっちゃんは、紙袋を下げてる。
「やっと出来上がって来たんでな、りんちゃんにも見てもらおうと思っての。」
玄関の上り口に紙袋を置くと、中身を色々と取り出して並べた。
それは可愛らしいキャラクター化された、銀狐のぬいぐるみが付いたキーホルダー。
それと、同じ銀狐のイラスト入りのお札柄のシール。
「どうだい、りんちゃん。可愛いやろ? シールもキーホルダーも、ちゃんとお堂でばあちゃんにお祈りしてもろうたから。ご利益はバッチリや。」
「これ…役場で作ったの? おっちゃんのデザイン?」
私は手に取り眺めながら聞いた。
今時のゆるキャラのようで…ちょっと可愛いかも。
「いやいや、考えたんは役場の若い衆で。よそからお堂に来た人に何か渡せるものがありゃいいんじゃないかってな。で、これよ。若い衆は、このシールをスマホなんかに付けとるわ。」
なるほどねえ…と感心して。
ばあちゃんは私とおっちゃんのやり取りを、ニコニコしながら眺めてる。
私はばあちゃんに近づくと、正面から抱きしめた。
私の方が背が高いから、少し屈みながらもぎゅっとした。
「ばあちゃん。また来るから…それまで元気で居て。私の帰る場所は…ばあちゃんのとこなんだから…」
「りん、解っとるよ。いつでもばあはここにおるから…」
ばあちゃんは台所でくるくると動いてる。
「ばあちゃん、何してるん?」
声を掛けながら近づくと、ばあちゃんは新聞紙の包みを作り終えて。
「ほれ、持って行き。りんが仕込んだお稲荷だ。」
私の両手にポンと乗せた。
「あ…そっか。忘れてた…。ばあちゃん、食べてみた…?」
思い出したように、ドキドキしてきた。
「いいや、まだだよ。後でお狐様にお供えしてから食べるから。」
「ええ…。ばあちゃん食べてみてからお供えしてよ。もし美味しくなかったら、お狐様に失礼じゃない…」
自信が無いから、弱音を吐いてみる。
「大丈夫、大丈夫。きっとお狐様も気に入ってくれるで。心配するなあ。」
そんなやり取りの中、颯爽と軽トラが登場。
大下のおっちゃんだ。
「おお、間に合った間に合った。りんちゃん帰るって言うから急いで来たよ。」
「そうなの? さよならを言いに来てくれたの?」
笑いながら近づくおっちゃんは、紙袋を下げてる。
「やっと出来上がって来たんでな、りんちゃんにも見てもらおうと思っての。」
玄関の上り口に紙袋を置くと、中身を色々と取り出して並べた。
それは可愛らしいキャラクター化された、銀狐のぬいぐるみが付いたキーホルダー。
それと、同じ銀狐のイラスト入りのお札柄のシール。
「どうだい、りんちゃん。可愛いやろ? シールもキーホルダーも、ちゃんとお堂でばあちゃんにお祈りしてもろうたから。ご利益はバッチリや。」
「これ…役場で作ったの? おっちゃんのデザイン?」
私は手に取り眺めながら聞いた。
今時のゆるキャラのようで…ちょっと可愛いかも。
「いやいや、考えたんは役場の若い衆で。よそからお堂に来た人に何か渡せるものがありゃいいんじゃないかってな。で、これよ。若い衆は、このシールをスマホなんかに付けとるわ。」
なるほどねえ…と感心して。
ばあちゃんは私とおっちゃんのやり取りを、ニコニコしながら眺めてる。
私はばあちゃんに近づくと、正面から抱きしめた。
私の方が背が高いから、少し屈みながらもぎゅっとした。
「ばあちゃん。また来るから…それまで元気で居て。私の帰る場所は…ばあちゃんのとこなんだから…」
「りん、解っとるよ。いつでもばあはここにおるから…」