
お稲荷こんこん
第4章 これからのこと
「おはよう…ございまあす…」
寝癖とあくびと共に諭吉が起きてきた。
私は簡単な朝食を用意していたところで。
「おはよう。食べたら診療所に行くけど一緒に来てくれる?」
諭吉は卓袱台に座ると手を合わせて、いただきますをして。
「勿論、そのつもりっす。社会人としてちゃんと挨拶しないと…」
納豆をかき混ぜながら言った。
診療所に行く前に、二人でお堂に手を合わせる。
顔を上げると、諭吉は祭壇を珍しそうに眺めていて。
「この前先輩がくれたシールやキーホルダー…あれがご利益があるって、ちょっと噂になってるんすよ。」
そんな事になってるなんて私は知らなくて、へえ…と感心してしまった。
役場の人達は喜んでるだろうなあ…。
「実は、俺にもご利益あったんす。あれから三件も合コンの予定が入って。いやほんとにこんな事滅多に無いんすから…」
ん…結果が出る前に、ご利益だと言っていいのか諭吉。
「さすがは、おばあちゃんがずっと守ってきた神様だなあ…って。きっと先輩の事も守ってくれますって…そう思うんすよ」
腰のウォレットチェーンに付けたキーホルダーを触ると、気付いたように。
「先輩からのメールを見て大丈夫かなあ…なんて思ってたら、こいつがちょっと光ったような気がして。あ、行ってみよう…って思ったわけで。これって何なんだか…虫の知らせ?」
虫の知らせというのかは問題ではなく。
私は違う事を考えていた。
諭吉にも、光って見えた…のか?
診療所に行くと診察待ちの村の人達がいた。
ひとしきり、再会を喜び合い。諭吉は仕事仲間で恋人では無いと説明をし続けて。
病室に入るとばあちゃんはベッドの上に、起き上がっていた。
私に気付くと笑って軽く手を上げて。
「ああ…りん。ごめんなあ…こんな有様で。心配かけてしもうたの…」
ばあちゃんの口調はいつも通りだが、声は心なしか弱かった。
「ううん。丁度今は仕事もヒマな時だから…全然構わないんよ。」
私は後ろに立ってる諭吉を引き寄せて、ばあちゃんに紹介した。
「福山諭吉です。高校の後輩で…えっと担当編集者っす。いつも先輩、いや先生にはお世話になって…」
ばあちゃんは何だか嬉しそうな満足そうな顔で頷いていた。
寝癖とあくびと共に諭吉が起きてきた。
私は簡単な朝食を用意していたところで。
「おはよう。食べたら診療所に行くけど一緒に来てくれる?」
諭吉は卓袱台に座ると手を合わせて、いただきますをして。
「勿論、そのつもりっす。社会人としてちゃんと挨拶しないと…」
納豆をかき混ぜながら言った。
診療所に行く前に、二人でお堂に手を合わせる。
顔を上げると、諭吉は祭壇を珍しそうに眺めていて。
「この前先輩がくれたシールやキーホルダー…あれがご利益があるって、ちょっと噂になってるんすよ。」
そんな事になってるなんて私は知らなくて、へえ…と感心してしまった。
役場の人達は喜んでるだろうなあ…。
「実は、俺にもご利益あったんす。あれから三件も合コンの予定が入って。いやほんとにこんな事滅多に無いんすから…」
ん…結果が出る前に、ご利益だと言っていいのか諭吉。
「さすがは、おばあちゃんがずっと守ってきた神様だなあ…って。きっと先輩の事も守ってくれますって…そう思うんすよ」
腰のウォレットチェーンに付けたキーホルダーを触ると、気付いたように。
「先輩からのメールを見て大丈夫かなあ…なんて思ってたら、こいつがちょっと光ったような気がして。あ、行ってみよう…って思ったわけで。これって何なんだか…虫の知らせ?」
虫の知らせというのかは問題ではなく。
私は違う事を考えていた。
諭吉にも、光って見えた…のか?
診療所に行くと診察待ちの村の人達がいた。
ひとしきり、再会を喜び合い。諭吉は仕事仲間で恋人では無いと説明をし続けて。
病室に入るとばあちゃんはベッドの上に、起き上がっていた。
私に気付くと笑って軽く手を上げて。
「ああ…りん。ごめんなあ…こんな有様で。心配かけてしもうたの…」
ばあちゃんの口調はいつも通りだが、声は心なしか弱かった。
「ううん。丁度今は仕事もヒマな時だから…全然構わないんよ。」
私は後ろに立ってる諭吉を引き寄せて、ばあちゃんに紹介した。
「福山諭吉です。高校の後輩で…えっと担当編集者っす。いつも先輩、いや先生にはお世話になって…」
ばあちゃんは何だか嬉しそうな満足そうな顔で頷いていた。
