お稲荷こんこん
第4章 これからのこと
「俺…タイムトラベラーっすかねえ…」
団扇で酢飯を扇ぎながら、首を傾げて呟いている。
諭吉は…諭吉に戻ると、記憶がすっぽりと抜けてるのを不思議がって。
「何だそれ。あんた疲れてるみたいだから昼寝したら…って私が言ったら、そうしますっ…て言って寝たのよ。」
私は酢飯をかき混ぜ終わると、炊いた油揚げに酢飯を詰め始めた。
うーん…と言いながらも、私の様子を眺めて感心して。
「この前俺が食べたのは、先輩が作ったんすね。めっちゃ美味かったすよ。」
「ありがとう。でもね…ばあちゃんのはもっと美味しいのよ。」
ばあちゃんはもう食べられないかもしれないけど。
でも、せめて私が作ったのを見て欲しいと思いながら詰めていた。
諭吉はお札シールのついたスマホを見て、溜息をつきボヤく。
「全く…休めとか言っておいて、何でこんなにメールをよこすんだか…。」
やっぱり寝てたんだなあ…とメールをチェックしてる諭吉に向かって。
「大丈夫だから、戻っていいよ。何かあったら連絡するから。」
いくら私の担当でも、社員は他にも仕事はあるのだ。妨げになってはいけない。
「そうすか…? 一人で無理しないで連絡してくださいよ。」
「解ってるよ。ありがとう。」
作り終わったお稲荷を仏壇に供えて。
勿論、手伝ってくれた諭吉にもいくつか包んでお土産に。
諭吉の車を見送ると、まだ終わってない原稿を思い出した。
今のうちに仕上げてしまおう…。
卓袱台に原稿を広げると、お稲荷片手に書き始めた。
サクサクと手が動く。何だか少し気が急いてるような感じ。
一気に書き上げると、ふう…と仰向けに寝転んだ。
ああ…またばあちゃんに起こされたいよ。
大人になったって…何度でも…。
私はそのまま眠ってしまった。
夢も見ないで熟睡していた。
起こされたのはばあちゃんの足じゃなくて。
電話の音だった。
ばあちゃんは…
じいちゃんと母さんのとこに逝った。
団扇で酢飯を扇ぎながら、首を傾げて呟いている。
諭吉は…諭吉に戻ると、記憶がすっぽりと抜けてるのを不思議がって。
「何だそれ。あんた疲れてるみたいだから昼寝したら…って私が言ったら、そうしますっ…て言って寝たのよ。」
私は酢飯をかき混ぜ終わると、炊いた油揚げに酢飯を詰め始めた。
うーん…と言いながらも、私の様子を眺めて感心して。
「この前俺が食べたのは、先輩が作ったんすね。めっちゃ美味かったすよ。」
「ありがとう。でもね…ばあちゃんのはもっと美味しいのよ。」
ばあちゃんはもう食べられないかもしれないけど。
でも、せめて私が作ったのを見て欲しいと思いながら詰めていた。
諭吉はお札シールのついたスマホを見て、溜息をつきボヤく。
「全く…休めとか言っておいて、何でこんなにメールをよこすんだか…。」
やっぱり寝てたんだなあ…とメールをチェックしてる諭吉に向かって。
「大丈夫だから、戻っていいよ。何かあったら連絡するから。」
いくら私の担当でも、社員は他にも仕事はあるのだ。妨げになってはいけない。
「そうすか…? 一人で無理しないで連絡してくださいよ。」
「解ってるよ。ありがとう。」
作り終わったお稲荷を仏壇に供えて。
勿論、手伝ってくれた諭吉にもいくつか包んでお土産に。
諭吉の車を見送ると、まだ終わってない原稿を思い出した。
今のうちに仕上げてしまおう…。
卓袱台に原稿を広げると、お稲荷片手に書き始めた。
サクサクと手が動く。何だか少し気が急いてるような感じ。
一気に書き上げると、ふう…と仰向けに寝転んだ。
ああ…またばあちゃんに起こされたいよ。
大人になったって…何度でも…。
私はそのまま眠ってしまった。
夢も見ないで熟睡していた。
起こされたのはばあちゃんの足じゃなくて。
電話の音だった。
ばあちゃんは…
じいちゃんと母さんのとこに逝った。